青山学院大学大学院 会計プロフェッション研究科 GSPA
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入試・入学案内

租税法修士論文指導担当/佐藤 正勝教授

指導の概要

1. 進行スケジュール

(1)1年次
入学後、分析対象となる関連判決文、評釈等の資料収集、取り上げた租税訴訟事件の判決文とその評釈等の分析、研究テーマの決定を経て、夏ぐらいから、修士論文作成にとりかかることを目標にしています。1年次終了時点で、主要な論理と骨格とができていることが必須です。
さらにいうならば、この時点で、ゼミ生自身の感触としては「ほぼ書き上げた!」的なイメージに近いのが理想的です。なぜなら、「『ゼミ生にとっての完成』から、『さらに1年かけて修正して初めて、真の完成を迎える!』」からです(←これも、佐藤正勝ゼミの多くのゼミ訓の一つです!)。

(2)2年次
前期は、論理の補強が中心となります。足りなかった理由付け、論理がつながっていない箇所の修正、具体性に欠ける箇所を具体的かつ明確にする作業等が主となります。
後期は、まさに、修士論文の完成を目指します。テニオハ等も含め、最後の追い込みの時期です。

2. 指導形態―講義、ゼミでの発表、個別指導―

具体的には、まず、私が担当する講義科目「租税法総論」で、租税法の基礎知識、法解釈の仕方、判決文の読み方等に慣れていただきます。そして、ゼミテキストを指定しますので、それを読み込んで、徹底的に理解して、自ら論文作成に反映させます。さらに、ゼミ授業と各人の修士論文の発表と議論を通じて、修士論文の完成を目指します。

担当教員の専門分野・実務経験・履歴・業績等

1. 実務経験

大蔵省(現財務省)で税法条文や租税条約条文を企画立案した経験、国税庁で外国政府との間で国際二重課税事案の政府間交渉を担当した経験、国税局で大法人の調査事務に従事した経験などがあります。

2. 教育上の経験

中央大学大学院等で租税法、国際租税法の講義、租税法修士論文指導を担当しました。

3. 研究上の業績

米国UCバークレーのロースクールで客員研究員として国際課税の研究をしたほか、下記のような著書があります。
  • 「佐藤正勝基本テキストシリーズ国際租税法 教科書」(2013年)
  • 「佐藤正勝基本テキストシリーズ国際租税法 基礎編 改訂版」(2011年)
  • 「佐藤正勝基本テキストシリーズ国際租税法 入門編 改訂版」(2011年)
  • 「国際税務の疑問点」(2011年)
  • 「会計大学院基本テキストシリーズ 租税法 新訂版」(2010年)
  • 「Q&A 移転価格税制―制度・事前確認・相互協議―」(2007年)

4. まとめ

以上のように、これまでの教育、研究、実務の多くにおいて、国際課税に関連する分野に携わってきました。しかし、修士論文の指導においては、国際課税に限らず、租税法のすべての分野の研究テーマについて指導を行います。

受験生にひとこと

1. 指導ポリシーについて

税法修士論文を希望する人は、税理士という専門家をめざします。税理士は、税法の知識を目の前の事案に適用して解決するのが仕事です。税の知識を暗記していれば、目の前の事案を解決できる時代ではなくなりました。例えば、仕訳、決算等はすでに会計ソフトがやってくれる時代です。したがって、暗記した知識でなく、自分で考えて解決することが必要です。「考える」ためにはどうすればいいでしょうか。一つは、「なぜか?」を問うことができる人になることです。「なぜ?なぜ?なぜ?」が佐藤正勝ゼミの2大ゼミ訓の一つです(あと一つは何かって?佐藤正勝ゼミに入ってからのお楽しみ、ということにしておきましょう!)。

なお、2年間で50単位を取得するだけでも重荷です。それに加えて修士論文の研究を選択した人は、大変な勉強量が必要です。したがって、まず、入学前において、簿記論、財務諸表論を徹底的に勉強し、税理士試験のこれらの会計科目に合格しておくこと、入学後は、50単位取得と税法修士論文作成に集中することが必要です。また、本研究科を受験して合格した後、翌年4月1日の入学直前までの数か月間に、なるべく「修士論文作成のための事前学習」をしていただきます。理由は、これまでの私の経験によると、2年間だけで質の高い修士論文を完成させることはかなり困難です。したがって、事前に、なるべく多くの税法の知識を増やしておくことが必要だからです。

なお、先生が指定したスケジュールどおりの論文の進行ができないゼミ生は、そのことによって単位を落としますので、進級ないし卒業ができなくなります。論文指導はとても厳しいです。しかし、それをクリアするだけの努力をしたゼミ生は、毎年、質の高い修士論文を完成させて卒業できています。

以上のような佐藤正勝の論文指導を希望する、やる気にあふれる受験生は、受験時に提出する研究計画書にその旨を、熱く明確に、記述して下さい。

2. 判決文選びについて

受験生の皆さんは、「法解釈上問題だ!」といえる税務訴訟事件を一つ選択して法解釈論文の研究計画書を書いて下さい。また、初学者の場合ですと、なるべく類似裁判例や評釈・論文の多い税務訴訟事件を選ぶのが、とっつき易いかもしれません。ところで、受験時の研究計画書で取り上げた判決文(入学後に、取り上げる判決文を変更してもよい)が、同一ゼミ内で競合するケースがあります。その場合は調整が必要なので、判決文の変更をしてもらう場合があります。ちなみに、最近かち合う判決文の例には、次のようなものがあります。

ストック・オプション事件、興銀事件、旺文社事件、萬有製薬事件、武富士事件、アドビ事件、平和事件、外国税額控除余裕枠濫用事件、映画フィルムリース事件、りんご生産組合事件、長崎年金訴訟など。