入試・入学案内

修士論文/リサーチ・ペーパーを書きたい受験生へ

修士論文/リサーチ・ペーパーの作成を指導します!

本研究科では、在学中に修士論文(標準2年制[3年制])またはリサーチ・ペーパー(キャリアアップ・コース1年半制)を作成するための指導をしています。

在学中に修士論文またはリサーチ・ペーパーを作成し修士学位を授与された場合には、一定の要件を満たしていることを条件として、国税庁の国税審議会へ、税理士試験の科目免除の申請を行うことができます。

国税審議会への申請に当たっては、①税法または会計学に属する科目等の研究により学位を授与されていること、②申請する分野の試験科目のうち1科目に合格していること、が必要となります。また、国税審議会の認定に当たっては、①在学中に当該申請科目に関する科目の単位を4単位以上修得すること、②学位論文等の内容が当該申請科目に関するものであること、といった基準を満たす必要があります。

修士論文またはリサーチ・ペーパーを執筆する意義は、税理士試験の科目免除を受けるためだけではありません。自らの研究課題に真摯に取り組み、成果物を完成させることは、たとえば将来、博士後期課程に進学し、研究をさらに深めることによって、高度な専門性を備えた実務家として、または大学など研究機関で実務家研究者の職を得て、自らの活躍のフィールドを広げる足がかりにもなります。将来の自分の可能性を広げる大きなチャンスと捉えて、果敢にチャレンジしていきましょう。

入学後に修士論文またはリサーチ・ペーパーの作成を希望する受験生は、入試において「修士論文審査」または「リサーチ・ペーパー審査」を受験し、合格することが必要となります。修士論文審査またはリサーチ・ペーパー審査は、他の出願書類とともに提出していただいた「研究計画書」(本学所定用紙)に基づいて、口述試験の形式で実施します。

修士論文とリサーチ・ペーパーの違いとは?

本研究科において修士論文は、1つのテーマに関して5万字以上の分量で論文を作成します。また、本研究科が開催する中間報告会で最低2回、中間報告を行う必要があります。

一方、本研究科でリサーチ・ペーパーは、1つのテーマに関して3万字以上の分量で作成します。中間報告会で最低1回、中間報告を行う必要があります。

両方とも、論文提出の後に、口頭試問による最終審査があります。

科目免除の認定を受けるために、どのような分野の研究をすればよいのですか?

国税審議会から認定を受ける際には、対象となる学問領域の研究を行っていることが審査されます。この「学問領域」については国税庁ホームページ「改正税理士法の『学位による試験科目免除』制度のQ&A」(国税庁のウェブサイトにて「学位による試験科目免除」で検索してください)に説明が掲載されていますので、「研究計画書」の作成前に一読をお勧めします。

以下、このQ&Aに沿って「学問領域」を説明します。

(1)税法に属する科目等の「学問領域」とは?

「税法に属する科目等」として、次の科目が挙げられています。

① 税法(税理士試験の試験科目以外の租税に関する法律を含む)

② 外国との租税に関する協定を扱う科目(関税等を除く。①も同じ)

③ ①、②に類する科目

ここで注意しなければならないのは、経済学のアプローチによる税制の研究です。Q&Aでは「租税制度の経済的な側面あるいは政策的な側面の研究については、それらが我が国の税法を基礎としたものであり、かつ、税法に属する科目等と密接に関連するものである場合は、税法に属する科目等に関する研究に該当することになる」と説明しています。経済分析によりわが国税制のあり方を示すような研究は該当するようですが、「税法以外の財政学」の研究は認定の対象外とする旨が明記されており、細心の注意が必要でしょう。

また、税務会計は「税法に属する科目」ではなく「会計学に属する科目」となり、会計科目免除の対象となります。

このような例から考えると、認定の対象となる学問領域の中心となるのは、法律的アプローチからの税法研究ということになります。租税事件の判決や裁決例等を題材に法解釈問題を取り扱う研究が、最も認定対象の趣旨に合致していると考えられます。

Q&Aでは、この他にも認定の対象外になるものとして次の項目を挙げていますので、ご注意ください。

・ 税法以外の法律学の研究

・ 外国の租税制度の研究

・ わが国の過去の租税制度の研究

(2)会計学に属する科目等の「学問領域」とは?

「会計学に属する科目等」とは、次のような科目を挙げることができます。

① 税理士試験の試験科目(簿記論、財務諸表論)

② 原価計算論

③ 会計監査論

④ ①~③に類する科目

①の範囲は、簿記論や財務諸表論に関する内容であれば何でもよいという意味ではなく、原則として、税理士試験の出題範囲に含まれる内容であること、つまりわが国の会計制度に関連付けているかどうかがポイントとなります。②の原価計算論の範囲は、「原価計算の基礎理論および計算手続、原価管理ならびに予算編成および経営計画への原価情報の提供に関する研究」です。また、③の会計監査論の範囲は、金融商品取引法および会社法に基づく「会計に関する監査制度、監査理論および監査諸基準に関する研究」を指すと考えられています。

管理会計は、認定の対象外となる経営学に属する研究まで含む場合があるため、原価計算論を除き、研究内容が上記①から③と密接に関連するかどうかという観点から、個別に審査されます。同様に、公会計も、企業会計と直接的には関連しない分野であるため、ただちに認定の対象分野とは取り扱われません。個別の研究内容をみて、企業会計を基礎としたものであり、かつ上記①から③と密接に関連するかどうかという観点から審査されます。環境会計もまた、個別に研究内容をみて判断されることとなります。要するに、これらの領域の研究は、無条件に認定の対象となるわけではない、ということになります。

Q&Aではこの他にも、認定の対象外となるものとして、外国の会計制度・会計基準の研究で、わが国の会計制度とまったく関連しないものは対象とならないとしています。

今までの論文等はどんな研究テーマだったのですか?

過去に科目免除の認定向けに執筆された論文等の研究テーマの例は、次のとおりです。

【税法】
  • 相続税法3条1項1号に規定されている「保険金」の適用範囲―「長崎年金訴訟」を題材として―
  • 法人税法22条2項にいう「取引」のあるべき解釈―オウブンシャホールディング事件事例研究―
  • 貸倒損失における債権回収不能の認定要件―興銀事件を題材として―
  • 所得税法157条における「所得税の負担を不当に減少させる」の課税要件事実について―「平和事件」裁判を題材にして―
  • 三要件説を中心とした、交際費等の課税要件の考察―萬有製薬事件を題材にして―
【会計学】
  • 新収益認識基準と『企業会計原則』の規定との相違について
  • 退職給付会計に関する一考察
  • わが国におけるリース会計基準の変遷に関する考察―IFRSの新基準も踏まえて―
  • 日本における純資産の部の取扱いと資本会計との関係について
  • 資産除去債務の会計処理に関する一考察

なお、どの先生のゼミ(演習)に入って指導を受けるかは、「研究計画書」の内容等の諸事情を考慮し、最終的には、合格者が入学した直後に本研究科が決定します。